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  第2回 全国の高校生の自主制作アニメーション・コンペティション

Highschool A nimation Competition 2021

最終審査結果

プロデューサー賞

「ゴミはゴミ袋へ」

茨城県立笠間高等学校2年 磯山 泰助さん

伊藤有壱賞

「Animə/Ψυχή(アニマ/プシュケー)」

神奈川県立相模原弥栄高等学校3年 市川 慎之助さん

数井浩子賞

「この世界できみと」

茨城県立笠間高等学校3年 村上 彩花さん

奥田誠治賞

「先へ」

東京都立総合芸術高等学校2年 平岩 歩乃果さん

東京工芸大学賞

「少年のまほうのふで」

群馬県立沼田女子高等学校2年 桑原 佑奈さん

特別賞

「くまのてりょうり」

東京都立総合芸術高等学校1年 廣瀬 治子さん

「MOOVING!」

東京都立総合芸術高等学校2年 神田 智鞘さん

準グランプリ

「Best Friends Forever」

茨城県立笠間高等学校2年 岩見 尊さん

「がんばれ!プラナリア君!」

京都府立洛西高等学校2年 北原 文平さん

グランプリ

「hello me」

クラーク記念国際高等学校3年 go-shuさん

審査員総評

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アニメーション演出家

奥田誠治

全ての作品のレベルが高く、選出するのに苦労しました。

 

ただ、基本的な演出力に疑問があります。上手(かみて)、下手(しもて)、客観、主観、イマジナリーライン、等、演出するのに必要な技術の学習が成されていないのが気になります。

 

絵コンテを描く技術。それが作品作りの基本です。絵コンテで、まず、自分のイメージを確認して、それから創作して下さい。


ゴールを定めないで走り出している感じがあります。


思いついたままに作り上げるのは無謀です。まず完成が見える程度の絵コンテを描きましょう。

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アニメーター・演出家

数井浩子

今回もたくさんの力作が集まり、どれも興味深かったです。

 

映像コンテンツ、特に国内商業アニメーションのアウトプットが完全にデジタル形式に切り替わったのが2000年と言われています。そこから数えて22年目の現在は、観る人も作り手もデジタルが「現在のあたり前」になっています。

 

確かにデジタル手法のメリットはたくさんあります。「制作したらすぐにプレビューできること」「何度でも簡単にやり直しができること」「ひとりで全部のプロセスが安価にできること」などなど。

 

アニメ制作は昔よりも数段カンタンになりました。とても良いことです。

しかし、今回みなさんの作品を観て、2022年以降は次の段階に進む時期に来たように感じました。それは、「デジタルというあたり前」から「かつてあたり前だった身体(アナログ)とデジタルの融合」へと進化する必要性が生まれつつあるということです。

このことを少し難しい言葉で「身体性への回帰」ともいいます。

 

ここ1~2年、日常生活は新型感染症への対策に翻弄されてきました。身体の健康状態に気をつかわない日はなかったとも言えます。

しかし反対に、私たちの創作にとって失なわれたのは「身体性」でした。「体を使って何かをすること」「頭だけでなく体と心で考えること」「よく笑うこと」など、この1~2年でかなり減ったように感じます。

 

もし、このことに思い当たることがあると感じた人は、アニメを創るときにも、どうか「体」とそれと連動している「心」の動きを意識的に体験してみてください。

そして、自分自身の身体とその動きという「かつてのあたり前」が、見えない骨格としてあなたの作品を後ろから支えるとき、デジタル制作という「現在のあたり前」が立体的になり、生き生きと輝き出すと思います。

 

アニメーションとは、動かない画や機械的な動きに活きた命を吹き込むアートです。

皆さんのこれからの作品つくりを楽しみにしています。

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アニメーションディレクター

伊藤有壱

昨年「1年後にはコロナも収まって」と願いましたが先の見えない日々はまだ世界を覆っています。


その不安も、孤独も糧にして、今年も高校生達が「純粋なイメージの結晶」であるアニメーション作品を創り上げ、昨年以上の応募数で驚かせてくれた事に勇気をいただきました。


サウンドも含めたった一人で仕上げた物も多いと聞いて2度驚き、コロナのせいとは言えどクリエイターとしてのタフさを備えたティーンエイジャーが創る未来のアニメーション界がどう発展するかすごく楽しみになりました。受賞作品も、惜しくも至らなかった作品も出会えて良かった!と思えるものが多かったです。
 

作品の傾向は、等身大の自分の心や不安、社会への疑問と向き合ったものが目につきましたが、純粋に心温まる物語や、シナリオ力に優れたフィクション、身近な出来事をつぶさに観察することから生まれる幸福感など、多岐にわたり、審査にかかわる側もその手応えを楽めました。


個人的にはストップモーション作品が少なかったのが残念でした。手間はかかるけれどその味わいはとても良いものがあるので、次回応募する方には期待したいです。


世界では「答えのない時代」が始まっていると言われています。従来の価値観からすれば不安は大きいけれどこれからを生きる人にはチャンスです。「アニメーション」は、今や見る側から普通に作れる時代となり世界のアニメーション映画祭のコンペティションでも高校生作品は増えています。作品を通して世界と繋がってもらえたらと願っています。

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エグゼクティブプロデューサー

奥田誠治

皆さまお疲れ様でした。


皆さんの企画に対する工夫やアイデイアがどの作品にもきちんと描かれているのと同時に高校生のみなさんが今しか作ることのできない感性に満ち溢れた作品ぞろいでした。

技術の差はそれぞれにもちろんあるのですが何を作りたいのか。観客に何を見せたいのか。

 

そしてこの内容で意味がちゃんと伝わるのであろうか。少なくとも内容面ではぜひそこまで考えてほしいのです。

でもその部分がしっかり構築されていれば言葉がなくても国境を越えて見る人すべての心に感動や驚きを伝えることができると思うのです。

CGアニメではないですが作品つくりで参考になると思うので。アカデミー賞短編アニメ部門受賞作マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の短編アニメ
「FATHER AND DAUGHTER」などがありますね。
セリフは一つもないのだけれど8分という短い時間で人の一生と人間の営みがきちんと描かれていますね。


フレデリックバック監督の「木を植えた男」も30分という短い時間で人の一生と命の尊さをしっかり描き切っていましたね。


堤大介監督の「ダム・キーパー」も18分の短編アニメですが大変素晴らしい作品でした。上記の三作品は三人三様で
独特の作風であります。

皆さんの今回の作品を見て全員に可能性があると思いました。
もちろんこれからCGアニメつくりの技術的なことからありとあらゆることを学ばなければなりませんが道は必ずや開かれると思います。


ぜひ今後もアニメーションにかかわることがあるのであれば先輩たちのアニメや実写の素晴らしいと思ったところを学び取ってぜひ自分でしかできない個性ある作品を目指してもらうとともに世界の人たちを皆さんの作品の虜にしていってほしいと思いました。


と、いうのは簡単ですがまずは今回のHACで知り合った仲間たちや先生たちを巻き込んでもっともっと素敵な作品つくりを目指してください。


私は楽しみにしております。
すばらしい刺激を皆さんからもらいました。


どうもありがとうございました。

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