
第3回 全国の高校生の自主制作アニメーション・コンペティション
Highschool A nimation Competition 2022
最終審査結果
プロデューサー賞
「一輪咲いても花は花」
茨城県立笠間高等学校3年 磯山 泰助さん
伊藤有壱賞
「Collowna」
東京都立総合芸術高等学校2年 小野 翔音 アレンさん
数井浩子賞
「往く日々を」
佐賀県立武雄高等学校2年 渕上 廣亘さん
奥田誠治賞
「Copper pheasant who loved Monstera」
茨城県立笠間高等学校3年 干川 未琴さん
東京工芸大学賞
「碧さながら」
香川県香川県立善通寺第一高等学校3年 岡井 莞志さん
特別賞
「春を知る」
日本大学豊山女子高等学校3年 杉園 瞳さん
準グランプリ
「カムヤシロノ、イバショ。」
茨城県立笠間高等学校3年 萱橋 桜さん
グランプリ
「大樹の子」
東京都立総合芸術高等学校3年 神田 智鞘さん
審査員総評

アニメーション演出家
奥田誠治
今回は全体に尺(秒数)の長い作品が多い。その割には作品として成り立っていない。
アバン、あるいはアイキャッチ的な物で終わっている。
起承転結までは望まないが、オチぐらいはつけて欲しい。
作る人達も見てくれる人達に対しての礼儀は必要だと思う。ほら、私は勝手に作ったんだよ、勝手に見てくれよ。では済まないと思う。
後は、絵コンテの基礎的技法を覚えて欲しい。最近はプロでもそこが失われているのでなんとも言えないが……
移動方向(上手下手を含む)イマジナリーライン、カメラワーク等、デジタル作画だから自由に出来る分その辺をきちんと考えて欲しい。
今年から「奥田誠治の絵コンテ講座」を再開する予定だ。是非受講して欲しい。
また、学校関係では依頼されれば講義を行っている。学校として考えに入れて欲しい。

アニメーター・演出家
数井浩子
今回もどの作品もワクワクしながら拝見いたしました。
今回の応募作品の特徴は、自分の「大好き!」を思いっきり表現してみたいという作品が多かったように思います。
自分がこれまでに経験してきたもの、見てきたもの、興味のあるモチーフ、高校時代の思い出、うれしかったこと悲しかったこと。これらはどれもみなさんの宝物です。そして、10代や20代のうちに、自分の”感情”をたくさん動かすことはとても大切です。
なぜなら、大人になると良くも悪くも”自分の感情にウソをつくこと”が上手になります。その結果、自分の本当に「好き」だったものをいつの間にかすっかり忘れてしまうこともあるからです。もちろん、大人には大人の”感情”はありますが、社会生活を円滑にするために、自分の感情を殺したり、激しく傷つくようなことは回避するスキルも身につけるので、心から笑ったり怒ったり泣いたりすることなくなったりします。
3DCGで動かすパートは"motion"といいますが、「動きによって命を吹き込む」ことですが、この”motion”という言葉の頭に「e」をつけると、”emotion=感情”になります。つまり、感情というのは「動くこと」「無機物に命を与えること」とも言えるのです。
みなさんも、アニメーションを創るときには、「カッコよく動かしたい」「リアリティのある動きをつくりたい」と、まずはテクニック的なことをプランニングするかも知れません。しかし、順序は逆なのです。
モノを動かすことで人々の”感情”を動かすことは結果であって、まず、作り手の”感情”が動いてはじめてモノに命が宿るのです。作品創作は、”感情(気持ち)”が先なのです。これはとても重要なことです。
そして、今回のみなさんの「大好き!」という”感情”や”命”が爆発した作品を見たときに、私はあらためて感じました。”感情”が込められた作品にはほんとうに生命力に溢れているなぁ、と。どの作品からも生き生きした”感情”が感じられました。
これからも、あなたらしい”感情”と、そこから動き出す「楽しい動き」「変な動き」「動かす喜び」を面白がりながら作品を創り続けていって欲しいと思います。
いつかどこかでみなさんの作品に出会える日を楽しみにしています。

アニメーションディレクター
伊藤有壱
一概に昨年と比較しにくいが、個人作品がより増え、また突出した作品が少ない印象。
作画、CG、シナリオ等、作り手の執念を映像に結集してほしかった。
また、既存エンターテイメントのパロディを楽しむ事も良いし、オリジナルに徹するも良し、自分の「好き」へのこだわりを更に人に見せる領域まで高めてほしい。
一部デジタルアニメーションが、アニメlookに挑戦したりと、おっ!と思わせてくれた。^_^
テーマ、モチーフの幅も少しせまく感じた。
コロナ禍で学習も多忙な中でアニメーションを作る事が難しい環境なのだろうか?
海外のアニメーション映画祭コンペティションで通用する作品は見当らず。次に期待したい。

エグゼクティブプロデューサー
奥田誠治
アニメの表現不足で見る人の想像や理解力にたよることは悪いとは思いません。
しかし表現の足りなさにより製作者の意図が伝わらなかった場合は、ぜひもう一工夫頑張って10伝えたいことがあったら何とか6以上は伝えてほしいと思いました。
また、予告編的な作品が多いのは本編がまだ完成しないうちに作品提出をしてもらったということだと思うのですがぜひそれぞれの完成作品をぜひ見てみたいと思いました。
特に「碧さながら」「MASK0,4」です。
またアイデイアで楽しませてくれたのが「Collowna」でした。
気持ちの良い音楽と大腸の中を行くうんちを待つものは!!良かったです。
そして一つのストーリーとして創作ダンスのような世界観を描いた「大樹の子」に心打たれました。
茨城県立笠間高校の作品の中で楽しませてくれたのが「一輪咲いても花は花」は内容の構成が優れており作品として楽しめる作品になっていました。